ミッション・トゥ・マーズ
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:ゲイリー・シニーズ/ティム・ロビンス/ドン・チードル
2000年/米国/114分/☆
批評 未だ越えられない「2001年宇宙の旅」の壁
肝心なところが抜けまくっている宇宙の描写に苦笑しながら始まると、途中であきれるしか無くなってしまう。
宇宙船のデザインが「2001年宇宙の旅」のディスカヴァリー号なのはご愛嬌と笑っていられたが、人口重力エリアの見せ方までもが「2001年宇宙の旅」。
「2001年宇宙の旅」が凄い作品なのは分かるけど、あれから何十年たっていると思っているのだろうか。
“リアリティのある宇宙を描写する”のであれば、今の物理学と今の技術で描写しなくちゃいけない。演出は真似てもその中身を真似てちゃ、ただの時代遅れだ。
宇宙船の内部も、上下左右も分からないくらい“白”なのは、やっぱり「2001年」で見たことあったね。
事故発生時のトラブル対処も、地球の船を参考にしちゃったのか「酸素が貴重」という意識が無い人間の行動になっちゃってる。
火星に降りてからもいただけない。
DNA塩基配列のアイディアは良かったけど、違いが分からないやつは皆殺しの冷酷な宇宙人は、慈愛の精神を発揮
隣人を愛せよといいながら、人類にジェノサイドしかけてくる某宗教の神様っぽくて、宗教観念の違いを感じさせられる。
宇宙人のデザインは「未知との遭遇」テーマ的にかぶっていた「アビス」、全体は「2001年」と往年のSF映画大集合な作品。どれもこれも、手垢にまみれてて、二番煎じの印象しか受けないあたりがこの作品、というかデ・パルマの限界を物語っている。
ま、そもそも SF 撮れる監督じゃないんだと思うけどね。
・・・なぜ受けた、この仕事を。