ARETE

アリーテ姫(東京国際ファンタスティック映画祭2000にて)
(ARETE)
監督：片淵須直
出演：桑島法子／小山剛／高山みなみ
2000年／日本／105分／☆☆☆☆

批評　温かい、良質アニメーション

　ある国で、高い塔で暮らすお姫様がいた。世間から切り離されて、本だけを相手に生活する彼女は“自分になりたい”という思いを抱き続けた。
　そんな彼女を、魔法使いが誘拐し監禁してしまう。
　姫は、“姫”ではない“自分”になれるのか？

　原作 (ダイアナ・コールズ「アリーテ姫の冒険」学陽社 ) は読んだことがないのでちと分からないが、映画としての完成度は非常に高い。
　画面構成、演出など、全体的にはハウス名作劇場系 ( ないし日本アニメーション系 ) のゆっくりとした画と画面切り替え (ヒューマンドラマで高速カットを使う愚か者はいないだろうが ) を劇場用にアレンジしてしっかり美術を見せている。
　演出の劇場用のアレンジも、引きを用いるなどスクリーンが本来持っている奥深さの利用を主眼に置いているアレンジのため、まったく違和感なく物語は進む。

　手堅い演出で語られる物語も見事だ。
　“自分”とは結局なんなのか？という極めて哲学的な問いかけを、非常にわかりやすく展開してゆく。この辺り、原作とどの程度の差違があるのかを知りたいのな。原作がわかりやすく作ってあるのか、脚本家の妙義なのか。

　しっかり作られた子供向け映画は、大人でも十分に鑑賞に堪えうる。
　その見本みたいな映画。はっきり言って必見。普段アニメ見ない人はなおさら。

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