死びとの恋わずらい(東京国際ファンタスティック映画祭2000にて)
(SHIBITO NO KOIWAZURAI)
監督:渋谷和行
出演:後藤理沙/松田龍平
2000年/95分/日本/☆☆☆☆
批評 良質な和風ホラー
道で顔を隠して待ち、初めて来た人に占いをしてもらうという“辻占”が引き起こす恐怖。
辻占をしていると現れるという噂の“黒服を着た美少年”。自殺した女性を弔う祠。
幻想的で美しく、そして恐ろしい恋愛ホラー映画。
後藤理沙の演技が壊滅的です。
しゃべりが、こりゃぁ無いだろうというほどヘタクソ。違和感ありまくりだコンチクショー!!などと思っていたらビックリ。最後の最後のヒネリでそれを吸収してしまった...まぁ演技力が低いという事実は変わらないが。
松田龍平は、あまり演技をしているヒマがなかったのでどうだか分からない。
あと、演技で驚いたのはクラスの優等生、田中さんを演じている役者。ちょっと手持ちの資料では名前が分からないんだけど、あの演技は上手い。前半の優等生としての顔から、中盤の嫉妬。そして最後のぶっ壊れの心理変化も見事に演じている。まぁ演出と脚本の完成度の高さも
舞台となる高校の生徒はともかく、その周りを固めるキャラクタにベテランを配置することで全体を閉めるのも見事。
全体の完成度はかなり高い。少なくとも「らせん」とか「リング2」とかを見るくらいなら遙かに良い完成度。
思わせぶりに始まる冒頭から、どう考えてもこいつおかしいだろうというキャラクタ設計。露骨に怪しい道の張り紙。観客に疑わせるように構築された物語と映像。
たしかにB級なんだろうけど、きちっと作られたB級映画は、しかしそうでなければ良作にならないというのも事実だ。
この作品は、少なくともその変の処理をしっかりやった。
物語も「あぁどうせこうなるんだろう?」と思う内容に一ひねり利かせているのは特筆に値する。
特に終盤の逆転は上手い。
物語を説明しながら、説明しすぎることなく観客に悩む余地を与える。この変、やたらと説明したがる日本ホラー映画にしては珍しい。
和製ホラーは、残念ながら商業的にいまいち振るわない傾向にあるが、このレベルの作品であれば、もっとしっかり宣伝してやれば売れると思うんだがなぁ。
少なくとも、アイドル売りだし宣伝を目的に作られた塵映画なんぞ見ているヒマがあるならこの映画を薦める。