スチームボーイ
監督:大友克洋
出演:鈴木杏/小西真奈美/中村嘉葎雄
2004年/日/126分/☆☆☆☆
批評 やりたいことはよく分かった!
ジュブナイル向け娯楽スチームパンク SF をアニメでやったらこうなった!という映画。
物語的には「よくある話」にとどまっている (これは素直に完成してもそう思っただろう) が、もともとやりたかったのが蒸気機関の描写にあるのが明白な“B 級活劇映画”(B 級と言うにはあまりにも金と時間がかかっているが) に仕上がっている。
見終わって思ったのは、この映画が最初の予定通りのスケジュールで完成していれば傑作になっただろうという事だ。
映画そのものは、9年にわたる製作のゴタゴタを感じさせないまとまり具合だが、映像技術の進歩に9年は長すぎた。
2D セルワークと 3D-CG の滑らかな融合も、すばらしい品質で“アニメ的に書き込まれた”映像 (写実的に書き込まれたのではない!) も、今となっては目新しいものではない。
とは言え、目新しさは無いが、それらの質は極めて高い。
アニメーションが苦手とする煙や水の表現に関しては一級と言えるだろうし、蒸気機関の肝であるクランクとカムの動きに関しては超一級の品質。
作品の完成度を本当に落としているのは、致命的に下手な声優陣。
最近は、特に声優ではなく俳優を並べるのが流行で、それが商業的に有利なのは分からんでもないが、それが作品の質を落としてしまっては意味が無いという事に、ぜひ気が付いてもらいたい。