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監督:ジョン・ラセター
出演:オーウェン・ウィルソン/ポール・ニューマン/ボニー・ハント
2006年/米/122分/稲田嵯裕里/☆☆☆☆

批評 なにげにマニアなネタ多数

 「さすがは PIXER。さすがは ラセター」というべきか。
 同スタジオの前々作、アンドリュー・スタントン「ファイニンディング・ニモ」で作り出したグラフィックエンジンをさらに改良したのか、今回は徹底的に光の反射にこだわる。
 結果、前作、ブラッド・バード「ミスター・インクレディブル」で見せた「アニメ的」表現から写実的な表現に切り替わっている。(表現しようとしている事がまるで違うので、比較する意味は無いが)

 次に突き詰められるのは、空気の質感表現かね。
 それとも流体表現が?「ニモ」では巧妙に流体表現を逃げていたからなぁ。
 ・・・映画の話をしよう。ここは CG の批評をするところではない。

 すぐれた CG で、信頼と友情の大切さという、実に健全なテーマを、まっすぐに作ってきた。

 天才新人レーサーだが、我侭で、チームの仲間はおろかプライベートの友人さえ居ないライトニング・マックイーン。
 サーキットへの移動中に、居眠りで迷子になってしまう。
 たどり着いたそこは、高速道路のお陰で寂れた街だった・・・


 この物語を、擬人化された車で行うというのも、いかにも車至上主義の米国らしい。
 寂れた町も、主人公を導く街の住人も、「古き良きアメリカ」で、日本人であってもノスタルジックな感傷に浸れること間違い無し。
 最初と最期にあるレースシーンも、デフォルメされた車にとるものとは言え、なかなか出来が良く、迫力もある。

 だが、それであるが故に、日本で爆発的に売れなかった理由もわかる。
 レースのルールがる程度頭に入っていないと最期の盛り上がりが分からん (とは言え、ルールの分かりやすさでは定評のあるアメリカンレース「デイトナ」なんだが。しかもオーバル) し、車に対する知識 (年代とメーカーと国籍) が無いと分かりにくい描写が多数ある。

 出てくる登場人物 (無論、すべて車だ) は、モデルになる車の特長をよく捕らえてデフォルメされているし (フィアットがフェラーリにあこがれているシーンは笑いなくして見られん)、キャラクタの性格にまで反映されているの芸の細かさには圧倒されるが、日本人には、はっきり

 物語と密接にかかわる、「ダイナコ」なるレースも、モデルになったであろう「デイトナ」が、果たして日本人にどれだけ知られていることやら。

 面白いんだけどね。ツボがマニア向け。
 少なくとも日本じゃ。

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