ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女
監督:アンドリュー・アダムソン
出演:ティルダ・スウィントン/ジェイムズ・マカボイ/ジム・ブロードベント
2005年/米/140分/松浦美奈/☆☆☆
批評 カメラだよカメラ!!編集だよ編集!!特撮だよ特撮!!
使われていない部屋の、細長い洋服ダンスを越えると、そこは雪国だった。
ご都合主義の展開や、「ロード・オブ・ザ・リング」の影響を受けまくったシーンの組み立ては、まぁ良い。
許そう。
影響を受けた映像がダメだというのならば、世界の映画の大半はカス映画になってしまうが故に。
役者も、何人か「え?」と思わされたが、まぁ良い。
主人公四人と、雪の女王のキャスティングにさえ成功していれば、この物語はどうにでもなる。そこは十分にクリアしているので許す。
だが、カメラと編集と特殊効果はいただけない。
ファーストショットの、ナチス独逸の倫敦空襲シーンが、あまりにやる気の感じられない仕上がりなのもどうかと思うが、全ての欠点を兼ね備えたのは、やはり最終決戦だろう。
平原で大軍を対峙させるという燃える映像なのに、引き画が一瞬。
平原を大軍が突進するシーンも、引き画が一瞬。
大軍同士が激突する瞬間にいたっては、引き画が無い。
迫力なんぞ微塵も無い。
戦闘の組み立てもヘタ。
弓も槍も剣も馬もあり、さらには台詞でそれらの部隊の展開も言っているのに、結局全部が突撃。
まるで燃えない。
弓を飛ばし、槍で突撃し、剣で斬り合うという手順を、段階を踏む事で盛り上がる物がない。
チャン・イーモウ「英雄/HERO」のように、理路整然と並んだ軍隊が一気に動くあの不気味さ。あの美しさが無い。
ピーター・ジャクソン「ロード・オブ・ザ・リング」のように、軍団が一気に攻めてくる恐ろしさが、迫力が、怖さが無い。
挙げ句、大自然の中で撮影しているのに、背景に無駄な特殊効果を入れて、ロケーションの美しさを殺している。
わざわざニュージランドで撮影する意味が無いではないか。
同じ脚本、同じキャスティングで良い。
カメラと編集を変えて全部撮影しなおしだ。そこからやり直そう。