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フライトプラン
監督:ロベルト・シュヴェンケ
出演:ジョディ・フォスター/ピーター・サースガード/ショーン・ビーン
2005年/米/98分/戸田奈津子/☆

批評 なんと酷い出来か

 ミステリー映画 (映画には限らないが、ここでは映画とする) は、いかに美しいトリックを組み立てるかが肝である。

 穴の無い方法で。
 無駄の無い方法で。
 誰も思いつかない方法で、トリックを組み立てる事。

 撒き散らされた断片情報が、最後に美しく一つの形を織り成すとき、「騙された」快感を観客は味わえるのだ。

 しかし、この映画の犯罪計画は、偶然と幸運に恵まれまくらなければ、決して成立しない

 さらに舞台になる架空の飛行機にリアリティが無い。
 外見にも疑問はあるが、航空力学には詳しくないし、そもそも風洞実験をやってみないとなんとも言えない (正確には、実機を作って飛ばさないとなんとも言えないわけだが) ので無視しよう。
 本編にも「ほとんど」影響が無い (最後のシーンでちょっと関係するんだが)からな。

 問題は機内のリアリティの無さだ。
 客室内に突起物があるし、ギャレーやバーに置かれたものが固定されていないし、固定器具も見当たらない (離陸前にも、飛行中にも、また緊急着陸直後にも固定されていないので、固定器具は無いと考えるのが妥当)。
 圧力隔壁のすぐ傍に、いかにも不安定そうな巨大な箱が置かれている、コックピットが異常に狭い等、もう突っ込みどころ満載。

 しかもそのうちのいくつかは物語の展開に関係し、されにいうなれば、トリックに関係している部分もある。

 あ、そうそう。エンジンの技術屋が、なぜ機体構造に詳しい (機体とエンジンは別の会社が作る事が多い。またほとんどの場合、エンジンはその飛行機専用に作られるわけではない) のかも分からんな。

 突っ込みどころ多数のトリックはさておき、途中で無実の罪で断罪されるアラブ人も可愛そうだ。
 しかも最後まで、誰も謝罪をしない。
 米国では、あれですか。アラブ人に人権は無いわけですか?
 子供のためにいくら迷惑をかけてもかまわないが、アラブ人はいるだけで罪人扱いされても仕方ないわけですか。

 ある意味それが、一番恐ろしい。

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