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ギミー・ヘブン
監督:松浦徹
出演:江口洋介/安藤政信/宮崎あおい
2004年/日/121分/☆☆

批評 途中崩壊型映画

 匂いや音を、色で捕らえる。
 通常の感覚と、まったく別の感覚で世界を捉える共感覚者。
 その共感覚者の周囲で起きる不可解な殺人事件。
 いったい誰が、何のために...


 ミステリーとしてみた場合、発端となっている殺人事件の謎がまったく解かれていないのは致命的な欠点だろう。
 どうやって殺したのか?なぜ殺したのか?なぜその殺人を"彼"は見抜けたのか?どうやって自殺者を生み出したのか?そもそもなんで自殺者を生み出したのか?どうやって探し出したのか?盗撮カメラの所在を把握した方法は?自分で設置したカメラは、どうやって設置した?等々

 スリラーとしても、特に後半はたんなる人間ドラマになってしまい、恐怖も緊張もあったものではない。

 映画全体では、柱となっている共感覚者を、その人間を通して表現できなかったのが致命的な問題と言えるだろう。
 なにせ、「他人と感覚を共有できないという、絶対的な孤独感」、という台詞があるにもかかわらず、その孤独感も、共有できた瞬間、本来なら、それこそ世界がひっくり返るような事態であるはずなのに、それを映像として表現し切れていない。

 謎が広がりつづける前半は面白いが、そこで見るのをやめておけば良かったと思わせられる映画であった。

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