日本沈没
監督:樋口真嗣
出演:草なぎ剛/柴咲コウ/豊川悦司
2006年/日/135分/☆☆
批評 特撮見本市!!脚本なんて飾りだっ!!って、いいのかそれで!?
結論から言ってしまうと、冒頭10分にこの全てが詰まっている。
破壊された街の中。横転した車の中から主人公が這い出すと、瓦礫の向こうに子供が一人歩いている。
足元にガソリン。
そこに火花を散らした電柱が倒れてくる。
燃え上がる炎をかきわけ、東京消防庁ハイパーレスキューが子供を救い、そのまま主人公もひっかけて安全地帯まで一ッ飛びっ!!!
瓦礫の山となった街の中で、出てくるのは主人公とヒロイン(ハイパーレスキュー隊員) と、ヒロインの過去を語るために担ぎ出された (としか思えない) 子供の三人だけ。
他は全滅か!?
必要以外の人間は出て来ない。
映像が矛盾していても、リアリティが無くても、ハデな映像に比べればゴミ。
こんな映画に脚本なんていらないってか!?
富士山裾野、おそらく樹海あたりまで沈んでいるが、横須賀は最後まで無事なのにあなぜとか、成層圏までぶちあがるような爆破だと「ちきゅう」も沈まないかとか(地球規模の被害が出そうだが)、ショックバラストを投棄した潜水艇がなんで浮上しないとか(これは、まぁ無視して
原作や、過去の劇場版にあったようなテーマ性を無くすのは問題ないが、エンターテイメントを成立させるための脚本手順が無いのは問題外。
映像的には矛盾し、脚本も突っ込みどころが少なからずあった羽住英一郎「LIMIT OF LOVE 海猿」が、それでもさいごまで面白く感じられたのは、その手順を踏んでいたからなのだからな。
JAMSTEC の保有する、日本の誇る最高の海洋調査装置群、地球深部探査船「ちきゅう」と、深海調査艇「しんかい2000」と「しんかい6500」を堪能できたのがせめてもの救い。
特に「しんかい2000」(「わだつみ2000」になっているが) は、Aクレーンで上げて海面すれすれまで降ろすシーン (廃船なので水につけることは出来ない) があり、涙物。
このシーン、作業員の表情が、複雑な表情をしているなぁと思っていたら、本当の作業員だそうだ。
使えるのに予算不足で廃船にせざるをえなかった船が(いつか復活させてやろうと目論んでいる関係者多数という話も聞く)、今、まるで生きている船のように動かされていれば、そりゃぁ複雑な表情にもなろう。
このシーンだけで☆追加の価値があるっ!!(映画の出来とは、完全に関係ないので、普通に考えれば追加されない。未踏地好きの血による加点だとあきらめていただきたい)