手紙
監督:生野慈朗
出演:山田孝之/玉山鉄二/沢尻エリカ
2006年/日/121分/☆☆☆☆☆
批評 予想外の名作
強盗殺人の罪で服役する兄を持つ主人公。
彼は、それ故に、周囲から迫害を受けていた。
作中で描かれるのは、兄弟愛であり、友情であり、男女の愛情であり、子供を思う親の気持ちだ。
作品は、そうした愛情と相対する形で、犯罪加害者の家族が直面する差別を描き、しかもその差別を、ほぼ全面的に「肯定」してしまう。
すぐに「人権」を口走り、過剰に差別しないようにすることで、逆に差別を成立させてしまうような悪徳としての偽善を、心理的に行うことが出来ない善を (私は、批判されてしかるべき正義があり、実行できない正義があり、批判されてしかるべき偽善があり、同時に、肯定され
「差別の無いところを探すんじゃない、差別のあるここから始めなければならない」という台詞の出てくる一連のシークエンスが、作品テーマの「手紙」を、犯罪被害者の家族が読むシーンが、見るものの感情を激しく揺さぶる、今年の邦画ベストランキングに間違いなく食い込む