ウルトラヴァイオレット
監督:カート・ウイマー
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ/キャメロン・ブライト/ニック・シンランド
2006年/米/87分/松浦美奈/☆
批評 ダメダメ
ウィルス感染により、通常の人間以上の能力を持った新人類「ファージ」。
その能力の高さ故、通常の人類は彼らを恐れ、ファージ殲滅に乗り出す。
人類の開発した、ファージ殲滅兵器。それは、一人の少年だった...
ベースプロットは、ファージの少年と、彼を救ってしまうファージ女性、ヴァイオレットの逃亡劇。
この部分は、ジョン・カサヴァテス「グロリア」と同じ。
違うのは、グロリアが娼婦だったのに対して、ヴァイオレットは戦闘のプロフェッショナルだという事。
頭と度胸で突破するグロリアに比べると、腕力ですべてをなぎ払うヴァイオレットは、かなり頭が悪くみえる上、さして怖くも緊張感も無い。
・・・スリラー風傑作映画と、アクション映画を比較するのが間違いかね。
ベーシックプロットを抜きにしても、敵味方の構成が、同監督の前作「リベリオン」から進歩していないのは減点だ。
挙句にオチまで変わっていない。
こうなればアクションシーンは!?と、思わせておいて、そのアクションシーンも前作から多分に退化している。
まず、謎のミライテキアイテムが増えたこと。
おかげで体の動きを見せる必要が無くなった。
次に、むやみにカット割を細かくしたこと。
おかげで体の動きが見えなくなった。
最後に、やたらとアップショットが増えたこと。
おかげで体の動きが見えなくなった。
「リベリオン」の格闘シーンが面白かったのは、クリスチャン・ベイルの体の動きを見せたからだ。動き始めてからとまるまでを、しっかり見せたからだ。
本作主役のミラ・ジョヴォビッチは、体の動きはさしてよくない。だがが、カット割りで誤魔化せる程度には動ける。これは「バイオ・ハザード」で証明されている。
にもかかわらずこの惨状。
画も物語も駄目というのでは、どこにも救いが無いぞ。