V フォー・ヴェンデッタ
監督:ジェームズ・マクティーグ
出演:ナタリー・ポートマン/ヒューゴ・ウィーヴィング/スティーヴン・レイ
2005年/英・独/132分/雨宮健/☆☆☆
批評 要、予備知識
娯楽映画を偽装した政治批判映画。
「マトリックス」のスタッフ再結集という宣伝を売っているが、「マトリックス」を期待すると、かなりの痛手を負うこと間違い無しの一本に仕上がっている。
米国の引き起こした第三次世界大戦により、世界は混乱。
自滅した米国は英国の植民地となり、英国は英国で、超保守派による圧政が行われていた。
そんな中、「V」と名乗る仮面をつけた男が、英国政府にテロによる戦いを挑む。
冒頭から、チャイコフスキー「荘厳序曲1812年」(オーケストラ編成指示に「大砲」という空前の指示がある事で知られる曲。深読みしすぎかもしれないが、1812年には英国支配からの離脱を求めた米英戦争があった。この映画の状態を考えると、非情に皮肉の効いた選曲である
分かるやつだけついてこい。
分からんヤツのことなど知らん。
そういう映画だ。
なにせ、台詞には「マクベス」だの「十二夜」だの「巌窟王」だのの引用が非常に多く、その内容にかぶせた物語展開も非常に多い。
さらに、英国では大犯罪者 (正確には、場所によっては反逆者、場所によっては英雄) として知られているというガイ・フォークスの知識がある程度以上必要のようで、一部引用の意味がわからないという事態に陥った。
そう、残念ながら、何箇所もネタの分からん場所のあった私は、「分からんヤツ」に分類されているとしか思えん。
もしかすると人によっては、ものすごく面白いのかもしれない。
私にすれば、物語は分からん場所が多々あるが、「荘厳序曲1812年」にのせて吹き飛ぶウェストミンスター宮殿 (ビッグ・ベンで知られる建物。ちなみに「ビッグ・ベン」は時計塔の名前であって建物全体の名前ではない) が吹っ飛ぶ映像は大興奮!
という一本であった。