ぼくたちと駐在さんの700日戦争
監督:塚本連平
出演:市原隼人/佐々木蔵之介/麻生久美子
2008年/日/110分/☆☆☆☆
批評 馬鹿になれっ!
「目の前に控えた受験勉強からの逃避か、それともまだ "10代の教祖" がいなかったからなのか」という趣旨のナレーションに始まる怒涛の110分。
やたらと壮大な音楽、大げさな編集、堂々としたカメラワーク。
どんなドデカい戦いが始まるのかと期待を煽っておいて、始まるのは自転車で、速度取締機の前を全力で通過、集団スピード違反 (ただし自転車) で駐在を困らせるというイタズラを仕掛けるというちっちゃさ。
冒頭10分、ここで思わず吹き出したら、そのまま最後まで行ける。この映画に"乗れる"かどうかはそこにかかっている。
「駐在はスピード取締やらんだろうっ!」と冷静に突っ込みを入れたら、敗北。
全編に渡って、リアリティの薄い僕たちと駐在さんのイタズラ合戦は、この後もひたすら馬鹿馬鹿しく進行するからだ。
ひたすら笑いと共に進行する、駐在と主人公"ママチャリ"一派との壮絶な (!?) イタズラ合戦が、後半に入るところでややトーンダウンしてしまうのがもったいない
なにせトーンダウンの理由が、「最後は感動させてやるぜっ! 」というのが見え見えなのだから。
しかし、それだけ見え見えな展開であるにもかかわらず、要所要所で笑わせることを忘れない展開はお見事。
最後の最後、感動させてくれたオチが笑い (乗れていない人は「火薬取締法」が脳裏をよぎることだろう) になっているのも見事と言うほか無い。
コメディ映画として始まったにもかかわらず、途中でシリアス路線に切り替わる言語道断な邦画が多い中、最後の最後まで笑わせてくれて、本当にどうもありがとう。
GAGA が映画製作から撤退するという話が出ていたので、続編は難しいかもしれない。
だが、この質、この方向性を維持するのであれば、ぜひ続編を見たいぞ。