カンフーくん
監督:小田一生
出演:チャン・チュワン/泉ピン子/藤本七海
2007年/日/98分/☆
批評 劣悪版「炎の転校生」
黒文部省が発動した、日本の子供を馬鹿に育て上げ、一部の者のみをエリートとして育てる計画に、クリクリ転校生カンフーくんと仲間たちが立ち向かうっ!!
島本和彦「炎の転校生」を思い出す部分が多々ある。
黒文部省 vs 文部省の構図は、教育委員会 vs 裏教育委員会の構図そのままだし、堕落生徒とエリート生徒の二分化は、「霧の都大作戦」にしか見えん。
だが、この映画は、制作側が楽しんでいるだけで、客を楽しませられていない。
演出に“溜め”がないため滑り続けるギャグは、映画に多大なる打撃を与えている。
パロディならパロディで、踏み込んで徹底的にやらねば意味が無いということが、製作者には理解できなかったのだろうか?
せめてアクションシーンの組み立てが上手ければ、見所もあっただろう。だがが、こちらも悲惨なことになっている。
体が動く人間、体を動かせている人間が多数いるにもかかわらず、細切れにした上で、片っ端から (あまり出来のよくない) VFX で埋め尽くしてしまう。
体の動きが見えないアクション映画のつまらなさは、いたる所で証明されている通りだ。
役者の楽しそうな姿を見ると、きっと現場は楽しかったのだろう。
金剛地武志が見せるエアギターや、すばらしいわざとらしさを発揮する笹野高史。分かりやすい悪役っぷりを疲労する武田真治等、一部の役者がところどころで見せる快演は、確かに笑える。
だが、それが作中に活かされていない寒々しさは、もう、二度と体験したくない。
・・・今後も、体験させられるだろうけどね。願うのは自由さね。