アマルフィ 女神の報酬
監督:西谷弘
出演:織田裕二/天海祐希/戸田恵梨香
2009年/日/125分/☆☆
批評 タイトルこそ最大のフェイク
観光地で被害者を引きずり回す犯人等、全編イタリアロケ (日本でセット撮影したシーンが1つあるらしいが) という地の利を活かしたかった脚本が非常に鼻につく。
一生懸命、その理由を説明しようとしているが、その回答故に「どこでもいいじゃん」としか思えなくなるのが悲劇であると言えよう。
確かに、順番立てて謎を解いて行く過程の見せ方は上手いのだが、その謎が生み出される過程に問題がありすぎる。
犯人の行動、計画は極めて杜撰なものであると言わざるをえないのだ。
「国によって犠牲になった俺たちの復讐」を成すために、「誘拐で人を犠牲にするのは良い」となってしまうほど、なぜ彼は追い詰められてしまったのだろうか?犯人が、その方法で犯行を実行せざるをえないほど切羽詰まった理由はなんだろう?
警備会社の偽造 ID を持って、警備会社のセキュリティシステムにアクセスする方法を見いだしている連中は、なぜその方法で公邸に入り込まなかったのだろう?
一日遅れた結果、何の意味もないアマルフィに連れ出しているが (タイトルが“騙し”というのは、驚きだ)、連れ出さない場合、犯人はどのタイミングで指示を、どう出すつもりだったのだろう?
大臣の一日遅れた予定を、どうやって正確に把握したのだろう?(警備のカメラは、公邸内の警備室か警備会社本社にあるの中央制御室でなければ見られない。公邸内や警備会社本社に入り込めるのであれば誘拐事件の必要はない)
登場人物の無駄な設定と説明 (新人大使館員が、イタリア語を話せないフリをしている事等) も鼻につくが、こうした、流れは上手いが逆から見るとあらだらけという部分に比べればたいしたことはない。
まぁいつもの真保裕一と言えばその通りだが、残念でもあるな。
流れそのものは上手いだけに。