アジャストメント
監督:ジョージ・ノルフィ
出演:マット・デイモン/エミリー・ブラント/アンソニー・マッキー
2011年/日/106分/☆☆
批評 甘い・・・色々と・・・
“誰か”あるいは“何か”が、この世界を構築し、今も動かしている。
世界箱庭思想とでも言うべき、この考えは、聖書に基づいているのが、西洋ではよく出てくる発想のようだ。
多くの SF 小説や映画のネタになっている。
「マトリックス」もこのネタだ。
サイバーパンクSFの巨匠、PKディック原作のこの映画もまた、その思想の映画だ。
欠点は、アレックス・ プロヤス「ダークシティ」と同じく、映画冒頭で、いきなりネタバレがあるという点だろう。
おかげで、帽子をかぶったスーツ姿の“怪しい男たち”から、“怪しさ”が抜け落ちてしまっている。
作品を通して、この手の“甘さ”が存在しており、組み立てがいまいち。
たとえば、最後の“ドア”を使った追跡劇。「ノブを回す方向を間違えるな」や「やつらの前を通ることになる」という台詞を活かして、“ドア”とドアの違いを活かし、追跡人を煙に巻くという組み立てにすれば面白かっただろうに、ヒロインと手をつないで“ドア”をくぐるという以上のしかけが発動せず、正直、盛り上がりに欠ける。
盛り上がりそうな要素はあるのに、それが活かせていない仕上がりであった。
ところで原作未読なのだが、“状況”を操作することによって生じる“波紋”のバタフライ効果に関する考察が甘いと考えるのは、SF ファンだけなのだろうか。
それとも、私の性格が悪いだけ!?