ハウスメイド
監督:イム・サンス
出演:チョン・ドヨン/イ・ジョンジェ/ソウ
2010年/韓/107分/根本理恵/☆☆☆
批評 濡れ場の意味を、もっと強く前に出そうよ
素直で良い人の住み込みメイドが主人に手篭めにされて妊娠。
婦人とその姑に気付かれ、「財産のために」と強制流産させられ復讐する話。
残念なのは、濡れ場の描写。
メイドと家の主人との濡れ場は合計二回あるが、一回目と二回目で組み立てが違う。
それは当然だ。
二回面の濡れ場では「中では出さないで」という台詞がある。
こうなると、一回目の行為で妊娠が疑われるが、だとすると一回目でその直接的/間接的描写か、描写されていない「他」があったことを明示するべきだったのではなかろうか。
その上で、口紅塗って主人のところに行ったら小切手渡され情婦扱いされるシーンを出せば、二人の感情の温度差による対比や、メイドがここでどういう感情変化を起こし「私が育てる」という動機付けを行い、堕胎させられたことで、あの復讐に走るのか、という感情変化を、より強く描くことが出来たと思う。
そこまで描いておけば「財産のため」「権力のため」という“家の女たち”とメイドの温度差も、もっとはっきりしたものになり、より感情が剥き出しになっただろう。
もちろん、「(メイドは)良い人だ」というのは繰り返し台詞で出てくるし、「子供が好き」という描写も繰り返し出てくるので、描こうとしている事は分かるんだけど、やはり、かわいがっていた子供の前を巻き込む復讐に駆り立てるには、ちょっと弱いと感じた。