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コクリコ坂から
監督:宮崎吾朗
出演:長澤まさみ/岡田准一/竹下景子
2011年/日/95分/☆☆☆

批評 進化は感じられた

 監督の前作、「ゲド戦記」ほどのどうしようもなさは無い。
 物語にあまりに多くの要素をぶち込みすぎ、しかもそれらが個別に動き、かつ個別のまま描写するもんだから、「浅く広く」になってしまっているように感じる。

 両親と祖父母の対立があったとか、娘の父に対する思いとか、異母兄弟かもしれないという苦悩。出生の秘密。学校での様々な問題等々。

 作品が作れて嬉しいのか、ただ冷静さを失っているのか、原作のエピソードを可能な限り入れ込もうとしたのか (私は未読なので、どこまで原作をなぞっているのか判断不能だが) 分からんが、とにかく盛りだくさん

 全体を整理して、いくつかの要素を刈り込むことが必要だっともう。

 それと、これは見る側の感性にも大きく左右されそうだが、全体から漂う“昔は良かった”感に、後ろ向きな視点を感じてしまうのは私だけだろうか。
 少なくとも「上を向いて歩こう」という感情には合致していないと思うのだが。

 とはいえ、敷居に手をついて挨拶するとか、フライパンから延々と目玉焼きが出てくるとか、そういう細部の甘さが気になる程度にまとまってきてはいる。
 うん。
 次回作は(あればだが)、もうちょっと面白くなるかもね。
 もしかすると。

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