もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
監督:田中誠
出演:前田敦子/瀬戸康史/峯岸みなみ
2011年/日/125分/☆☆
批評 アイドル映画ではない、のは良かったが・・・
タイトル長いのは、AKB映画の定番なのか!?
「マルキ・ド・サドの演出のもとにシャラントン精神病院患者たちによって演じられたジャン=ポール・マラーの迫害と暗殺」や「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」と戦う気か!?
と、全然関係のないところから指摘するが、原作と同じ題名だし、AKB メンバー出演映画で短い題名の映画もあったので、意図的な物ではないと信じよう。
マネジメントの父、P.F.ドラッカー。
彼の著書「マネジメント」のダイジェスト版を、さらにダイジェストにしたライトノベル風小説を原作とする映画。
原作は、実はきちんと読んでいない。
そしてアニメ化されたときも、全話しっかりは見ていない。
しかしこの映画は、その範囲の中で把握している欠点を、まんまみごとに引き継いでいる。
啓蒙小説として書かれている必然上、「ドラッカーのマネジメントを紹介する」部分がある。さらにそこを読ませるために、「高校野球部の青春物語」がある。
この二つが、あまりうまく混じっていない。
主に台詞の部分で。
説明的な説明。
説明的な疑問。
説明的な回答。
映画では、時間が短くなった分だけ、その混ぜ合わせがさらに難しくなり日常会話と説明会話が共存してしまっている。
ものすごい違和感だ。
さらに、野球部員を演じている役者が、おそらく野球経験がないのだろう。
野球ファンではない私が見ても「うわ、ヘタ」と思う状況。
これはとても甲子園に行ける野球部ではないぞと思わせてしまう。
ファンだけが喜ぶ、悪いアイドル映画にはなっていないし、見た人間をアイドルのファンにする、良いアイドル映画にもなっていない。
アイドルが出ているだけで、普通の映画に仕上げようとしているのは好感が持てるが、それだけに、邦画では良くあることとはいえ、脚本の出来が悪いのは残念だ。