RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ
監督:蔵方政俊
出演:三浦友和/余貴美子/小池栄子
2011年/日/123分/☆☆☆
批評 感情移入が難しい
定年間際の運転手。
妻が突然、働きたいと言い出した。
定年後の人生、さぁ、どうしよう・・・
脚本上の大きな欠点が一つ。
演出的な欠点が二つあると思う。
新米運転手、小野の物語が中途半端。
彼女と喧嘩していて、という話が、放り出されたままになっている。
おそらく埼玉にいるのであろう彼女との話は、果たしてどうなったのか。
彼女との問題に、なんらかのケリがついてあの運転なのか、それとも、ケリはつかないけど、運転手として成長して、あの運転なのか。
そこが分からないと、運転士としての自覚の意味がだいぶん違ってしまう。
描くべきではなかろうか。
もう一つは、それまで鉄道員の日常を抑えて描写していたのに、定年前最後の運転シーンが、あまりにも感情的過ぎる事。
繰り返し繰り返し、同じ線路を、同じように走る男の日常は、はやり日常どおりに終わるのが“味”ではなかろうか。あの過剰な演出は、逆に白けると思う。
もう一つは、実は第一の演出的欠点と同じなのだが、定年前最後の運転乗務が終わったところ。
なぜそこで仕事を放り出すっ!!
運転レバーと運行表とバックを、常に持ち歩いて鉄道員の制服を着ていた男が、なぜ手ぶらで下車するかっ!!!
違うだろ!!
とはいえ、演出的な欠点は、私が50代、60代で、登場人物に感情移入できると違うかもしれない。
「そう、これでこそ」と思えるかもしれない。
このあたり、やや狙っている世代とのギャップを感じなくも無い部分だ。
「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」にあったような、感情移入しやすいキャラ (「お父さん何考えてんの!?」という娘) がいないのも、私のような人間には作品にのめりこめない理由になっているような気もする。
残念。
もうちょっと、がんばりましょう。
私が?
映画が?
・・・謎ですな。