ダークナイト ライジング
監督:クリストファー・ノーラン
出演:クリスチャン・ベイル/マイケル・ケイン/ゲイリー・オールドマン
2012年/米/164分/アンゼたかし/☆☆☆
批評 やりたい事は分かるのだが
「バットマン ビギンズ」に始まるノーラン版バットマン三部作完結編。
善悪を問うた、あの衝撃の「ダークナイト」の先に、何を見せてくれるのか。
と、思って劇場に行くと、肩透かしを食らうことになる。
「ダークナイト」の続編ではなく、「ビギンズ」の続編というのがまず一点。
本作で描かれる、「街を封鎖して脅迫」は「ダークナイト」でやっちゃったよね?という問題もあるが、それ以上に、あそこまでやって結局殴りあいで解決なのかよ、という問題も生じた。
もっともこれは、シリーズとしての問題でもあって、単体の問題とは言いがたいかもしれん。
作品単体の問題は、「主人公、ブルースウェインの人間的変化」を描くことに集中したせいなのか、全体の展開がひっちゃかめっちゃかなことになっていることの方が大きい。
それで人間的変化が丁寧に描かれていれば、まだ救いはあったが、結果そこも破綻している。
レイチェルを喪った悲しみで悲嘆にくれていたはずのブルースは、なんでこうもあっけなく他の女性と良い感じになっちゃうの?まともに歩けないほどの怪我を負っていたのに、カイロプラクティクス(?)であっけなく歩けるようになる理由は?直登せず、わざわざジャンプして脱出する理由は?等々。
最後に結局市民は立ち上がらず、警察だけが戦っているのも弱い。「ウェインの希望は叶いませんでした」になっちゃってるから。
他にも幾多の細かい欠点がある。
一つの大きな欠点ではなく、細かい幾多の欠点が物語の完成度を大きく損なった、とでも言おうか。
物語で画きたいことは分かるが、そのためにの手段を大きく間違ったなというのが正直な感想だ。