はやぶさ 遥かなる帰還
監督:瀧本智行
出演:渡辺謙/江口洋介/夏川結衣
2012年/日/136分/☆☆☆
批評 東映
全員しかめっ面で話は進み、苦労に苦労を重ね、苦行の末にようやく栄光を掴み取る。
その栄光も、ささやかな話でさらりと観客に見せるのみ。
さすが東映。
これぞ東映。
という内容。
いちばん端的にこの映画の欠点を物語っているのは、軸となる女性記者の台詞に集約されている。
彼女は、現場を見て「皆さんとっても楽しそう」と口にしている。
しかし、いったいこの現場で、誰が楽しそうに見える?
PM は、ほとんど誰かに相談することなく独断的に物事を決定するスーパーマンで、眉間にしわを寄せ、あらゆる反論を封じ、あらゆる責任を一人で背負っている。
NEC の社員は、この PM と会社からの突き上げでキリキリ舞。
イオンエンジン担当者は、風見鶏のように、場合によって態度が違う有様。
他の担当者は、影が薄くて姿が見えない。(姿勢制御系と航法担当は一応見えるか)
帰還カプセルの取材シーンくらいじゃないか、楽しそうな研究者が出てくるのは。
サブエピソードどなっている、新聞記者の家族物語も、やりたいことは分かるがはっきり言って、上手く行っているとは言いがたい。
群像劇としても中途半端、人間ドラマとしても中途半端、家族の物語としても中途半端。
全体的に、中途半端な内容の、中途半端な映画だと思う。
まさに、東映。