テルマエ・ロマエ
監督:武内英樹
出演:阿部寛/上戸彩/北村一輝
2012年/日/108分/☆☆
批評 後半の失速感が圧倒的
古代ローマ時代の、浴場設計技師ルシウス。
彼は問題に行き詰ると、理由は分からないが現代日本にタイムワープするっ!!
クソまじめな人物が、タイムスリップしているとは思わずに現代日本の風呂技術に触れ、ただひたすら衝撃を受け、問題解決の糸口をつかむと古代ローマに戻る。
という、いろいろとわけが分からないギャグ漫画。
前半はほぼ原作どおりで、後半は映画独自展開。
そして後半の映画独自展開が、かなりだいぶん「やらかしている」。
理由は簡単。
するべき説明をしていないからだ。
ルシウスは、タイムスリップ、などという現象は想像もしていない。
だからこそ「この国はローマよりすごい!」という驚きと、その驚きのシュールさに笑いを生み出している。見ているほうは「そりゃ、未来だもの」というツッコミが成立するからだ。
しかしこの映画、後半の独自展開になると、ルシウスはいつの間にか、なんの説明も無く、タイムスリップを受け入れている。
受け入れることの抵抗も、驚きもなにもない。
会話シーンで、突如としてタイムスリップを知っている。
ここから先では「現代と古代のギャップ」による笑いは、当然、生まれ得ない。
笑いの方向を切り替えるなら切り替えるで良いのだが、それまで作ってきた「細かいディティール」も放棄してしまうので、連続した世界の、同じ作品として判断するのは、かなり辛い。
もっと上手いやり方無かったのかね。