図書館戦争 革命のつばさ
監督:浜名孝行
出演:井上麻里奈/前野智昭/沢城みゆき
2012年/日/105分/☆☆
批評 足場グ〜ラグ〜ラ
TV シリーズから続く「図書館戦争」映画版にして完結編。
発生した原発テロに対し、その内容が酷似されていると指摘された小説「原発危機」の作者に、執筆活動停止を法的に迫るメディア良化委員会。
表現の自由と、図書館の自由法に基づき、図書隊と激突する。
という内容なのだが、とにかく足元がボロボロ。
シチュエーションだけが先行し、そのシチュエーションを組み立てるための足場が出来ていない。
おかげで相互のシチュエーションが矛盾する。
飛行中のヘリを撃墜する、という中盤戦最大の戦闘シーンも「市街地上空を飛行中のヘリにたいし、メディア良化隊が発砲」している。
また、最後は「総領事館をメディア良化隊が封鎖」している。
市街地で戦闘し、公道を封鎖している。
どうやっているのかわからないが、それだけのことが出来る組織であれば、図書隊が作家をかくまっている場所がわかった時点で、その周辺の道路を完全封鎖した上で、急襲部隊突入させれば終わりじゃないか?(そもそも作中では、メディア良化隊が、作家を拉致して何をしたいのかぜんぜんわからないのだが)
この一例が一番わかりやすいが、全編通してこんなものだ。
「状況」を描写する事に熱心になっていて、「状況にいたるまで」がまったく考えられていない。描写されてもいないだけなら、ここまで矛盾する事は考えにくいので、おそらく何も考えていないのだろう。
原作の一部を改変し、中抜きするだけではまともな脚本になんてならない。
その事を、いやんなるくらい教えてくれる映画であるといえよう。
正直、あの TV シリーズの続きでは予想された完成度ではあるのだがな。