スティーブ・ジョブズ
監督:ジョシュア・マイケル・スターン
出演:アシュトン・カッチャー/ダーモット・マローニー/ジョシュ・ギャッド
2013年/米/127分/風間綾平/☆☆
批評 冷静になれ
スティーブ・ジョブズの半生、大学中退から iPod 発表までを描いた映画。
iPod 発表に始まり、大学中退に戻って、再び iPod 発表に戻るというカットバックになっているが、さて、なんでカットバックなのかは分からない。
回想形式になっているわけでもないし、iPod 発売にいたる思考が描かれているわけでもない。
意味のない構成は、正直、やめた方が良いと思うのだが。
とはいえ、映画を駄目にしているのはそこではない。
問題点は、個々のエピソードが細切れで、全体を把握しにくいことに有る。
また、細切れのエピソードも、そのエピソードの意味も画がかれない。
たとえば、Apple 社を躍進させるきっかけとなる Apple2。
ジョブズが Apple1 の商売を「どう考察し」ウォズに Apple2 を開発させたのか」がまったく描かれないので、躍進のきっかけであることが伝わらずにいきなり会社が大きくなっているようにしか見えない。
またこのとき、映画で大きな柱となるもう一人の人物、マイク・マークラが登場する。
彼が、当次インテルの社員であることは描かれるが、彼が Apple の可能性を「どう考察し」Apple に転職するにいたったのかが描かれない。
これでは、ジョブズがなぜ経済的に成功したのかが伝わらない。
また、ジョブズの人格的問題も、描いてはいるが、途中が無いので話が飛び飛びだ。
スティーブ・ウォズニアック (初期の Apple 製品を自力開発し続けた男) に仕事を依頼し、報酬をちょろまかした話は描かれるが、ちょろまかした金をどうしたのかが描かれない。ただの守銭奴にしたいのか?
妊娠した彼女を追い出す話も、追い出したところで終わって、後になっていきなり子供が登場してって、その間は?
「僕が印象に残ったエピソード」を、とりあえず「表面だけ並べた」印象にしかならんなぁ。
しかも、Apple 追放の時に裏切り者、という描写をされているのに、マイク・マークラの描写はそう酷くないが、mac 基本コンセプトを作ったジェフ・ラスキンの扱いは酷いの一言。
マイク・マークラは生きているが、ジェフ・ラスキンは亡くなっているから?
死人に口無し?と邪推したくなる有様だ。
たいへん中途半端で分かりにくい。
製作側に冷静さが足りていない映画だと思った。