思い出のマーニー
監督:米林宏昌
出演:高月彩良/有村架純/松嶋菜々子
2014年/日本/103分/☆☆☆
批評 親切さや丁寧さは時に邪魔になる
病気療養で北海道の親戚の家にやってきた杏奈が、洋館の少女と出会うひと夏の物語。
原作未読なのだが、もともと舞台が日本の話ではないのを、北海道に移して再構成されているらしい。
この移動によって、“マーニーの住む洋館”が持つ異世界感は強くなっているのではなかろうか。
その意味では (原作至上主義者には不評だろうが)、比較的成功しているのではないかと思う。
映画において大きな欠点になっているのは、なんと言っても二段になっているオチだろう。
優れた伏線とは、それが伏線であることを意識させず、改修されたところで「あれも伏線だったのか!」と、納得させられることだ。
ところがこの物語だと、あまりにも分かりやすく伏線が張られる。
そのため、一段目のオチがあった時点で、かなり露骨に「回収されていない伏線」が存在していることが分かる。
そして、その回収されていない伏線は、他の伏線や一段目のオチから「どういう内容なのか」を、比較的容易に想像できてしまう。
つまり、二段目のオチに驚きが生じない。
尻すぼみな印象を受けてしまうこととなった。
個人的には、ファンタジーか、ホラーか、どちらかに大きく振った上で (一応、ファンタジーを目指しているようなので、ホラー的に見える部分を、もっと丁寧に取り除く方法を考えたほうが良かったように思う)、伏線の埋め込みとオチの見せ方をもうちょっと考えたほうが良かったと思う。