アポロ13
監督:ロン・ハワード
出演:トム・ハンクス/ケビン・ベーコン/ビル・パクストン/ゲイリー・シニーズ/エド・ハリス
1995年(1995/7/22)/141分//☆☆
批評 ロン・ハワード的詰めの甘さ・弐
平坦な演出がサイコーにダメっぽい。
実話の映像化の場合、観客は結末をしっている。つまり求められるのは意外な結末ではなく、そこまでの道程をいかにうまく見せるかがポイントになる。
月着陸を目指して打ち上げられたアポロ13号が、月に向かう途中に爆発事故を起しシステムのほとんどがダウンしてしまう。
物理的な支援が不可能な宇宙空間で、致命的な障害の発生した宇宙船。その宇宙船の中と、地上で繰り広げられる生還へのドラマが、この映画の全てだ。
このプロットを見てもらえればわかるように、重要なのは NASA の地上チームと宇宙飛行士達が、無線交信のやりとりだけでいかにして生還をはたすかという点にある。
役者は、地上管制主任にエド・ハリス、アポロ13号船長にトム・ハンクス。不本意にもアポロ13号に搭乗していなかったが、しかしそれであるが故に黙々とバックアップ作業をこなすゲイリー・シニーズと、非常に豪華な布陣。あぁしかしなんたること。どんな豪華でたしかに俳優陣も役立たずにする手腕が発揮されてしまった。
なによりも散漫なのは脚本。物語が地上管制班と宇宙飛行士達どちらをより強くかきたいのかが分からない。どっちを画くにせよ、どっちも中途半端にしか画かれていないのだ。これでは映画にのめり込むことは出来ない。
映像的な見せ場としては、事件発端となる前半の爆発シーン。中盤に月軌道で、地球が月の陰に隠れることで発生するブラックアウトのシーン。そしてラストの地球への帰還シーンになる。
どっこいこの男ロン・ハワードはそんなんお構いなしに映像を作り出す。
この映画で映像的に一番盛り上がるのは冒頭。アポロ13の打ち上げシーン。あとはどこまでも冗長だ。
たしかに CG で作られた宇宙船外観や、ジャンボで作られた本当の無重力の中で撮影したシーンは見事なのだが、ただ見事なだけで生かされていない。
テンポの悪い脚本と演出と編集。せっかくの見事な画と、演技達者な役者陣もこれじゃぁいかされません。
誉められるのは、ギリギリまで技術的な会話を削ったことか?